新都市生活研究所ではbetween the artsと提携し、タワーマンションのロビーに現代アートを展示とレンタル・購入のサービスをおこなっています。
もともと、このアート展示は「コロナで発表の機会が少なくなった作家」と「アートを飾ることができる壁面を多く持つマンション」をマッチングして生まれたもの。質素だった壁面が華やかになり、遠い世界だったアートが身近に感じられると、評価していただくお声も聞いています。
また、関連イベントとして『現代アートの買い方セミナー』を開催し、アートの知識を得たり、作家さんと直接コミュニケーションをとる機会を提供しています。
2021年11月6日、現在作品を展示しているパークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワーで、セミナー実施後、本企画に協力いただいているbetween the artsの代表、大城崇聡さんに現代アートについて、また今回の新都市生活研究所との提携についてお話を伺いました。
セミナーの内容はこちら
ー本日はありがとうございました。今回、セミナーに登壇されていかがでしたか。
タワーマンション住人の方を対象にお話するのははじめてですが、アートに関心を持たれている方が多いんだなと感じました。
ー8月からパークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワーのロビーにアート作品の展示を行っていますが、どうでしたか?
アートを管理する会社の代表として話させていただくと、タワーマンションに住んでいる方は収入や社会的地位などが高いことはわかっていました。アートを買う余裕がある、アート自体を好むなど相性はいいですよね。
弊社は、ギャラリーと専属契約されていない現代アート作家さんを中心に業務支援をしています。コロナ禍で作品発表機会が激減して、困っている作家さんは多くいらっしゃいました。
公共の場にアートがあることは価値が高いと思うものの、盗難のリスクはとても怖いです。
今回、パブリックではあるけど限りなくクローズドな空間なので、アートの展示に向いているなと感じました。居住者の方からも好評だとお聞きました。子どもが小さい頃からアートに触れ合う機会があるマンションって素敵ですよね。
ータワーマンション×現代アートという取り組みについて、どんなところに可能性を感じますか?
アートと自然に出会うチャンスは多くありませんから、日常空間に展示されることは価値があると思います。
今回セミナーでお話した内容はアート購入の基礎知識として持っていただければ十分です。その上で、実際に作品をたくさん見ていただき、作家さんと話せるイベントが実施できればいいですね。
それにアートを学ぶ一番の方法は買う、そしてとにかく数を見ることなので、「買いたい!」と思える作品に普段から触れ合う機会をマンション住民様へ提供することは有意義だと思います。
ーセミナーでは3名の作家さんも来場いただきました。制作に使う道具を拝見したり、手法を聞くと作品の印象も鮮明になるように思います。
作品を見る時、そこに作家さんがいて話が聞けることはとても重要なことです。なかなか自分で見て作品を解釈することは難しいので、作家さんに作品の意味や作り方、作家としての考え方などを聞くだけで、作品の見方がぐっと変わってきます。そうするとより購入しやすくなりますね。
ー大城さんはどのように作家を発見しているのですか?
今はインスタを使っています。以前は、コンペで賞をとった作家などを買っていくことが一般的でしたが、それに加え、今はインスタで情報発信し、セルフプロデュースができる作家を買うことも一般的になってきています。
作家だけでなく、アートが好きでギャラリーに行っている人や、アートコレクターをフォローしておくことで知らない作家に出会うきっかけになりますよ。
ー初心者にとって「アートを買う」ことは敷居が高く感じるのですが。
予算としては3万円〜10万円くらいから始めればいいと思います。若手の作家は価格的にも買いやすいです。
そうやって少しずつ買っていくことで、自分の好みの作家や作品を見つけることができるようになると思います。
私もアートコレクターであり、アートが好きで買っています。
好きが高じて「美術倉庫」というアートの保管サービスを作ってしまいました。家に飾れないくらい作品を持っているコレクターの方に、最適な環境で保管でき、いつでもオンラインで作品を確認できるサービスです。
ー現代アートの魅力とは?
そもそも存命の作家の作品が買えることです。購入すれば、作家さんとコミュニケーションもとりやすくなりまし、作家さんを応援しながらコレクターとしても一緒に成長させてもらえます。あとは、自分の解釈、好みで自由に買えることですね。
ーアートを初めて買う方へのアドバイスをお願いします。
まずは何も気にせずに自分が好きな作品、作家を見つけることですね。インスタグラムを使うと見つけやすいです。そして買ってみること。
私も最初は3万円の作品を購入するのにすごく迷いました。たまたま作家さんがいらっしゃったのでお話を聞いて購入を決めました。
あまりオススメしないのは、「リビングのこの壁に飾りたい」というようなインテリアとしてこだわり過ぎて購入することです。
ー最後に新都市生活研究所について。新都市研から最初に話を持ちかけられた時、どう思いました?
共通の友人からご紹介を受けました。今まで誰も気づかなかった領域を攻め込まれているなと直感しました。レッドオーシャンの不動産業界の隙間にあるブルーオーシャンだなと。とても意義のあるビジネスモデルだと思います。
タワーマンション内の顧客属性はとても良いというのは肌感覚ではわかっていたので、そこにアプローチできるのは効果的ですね。
ー実際に展示するまではスムーズでしたか?
弊社のみで今回の展示やセミナー開催にこぎつけるのはとても困難です。管理組合へのアプローチ、管理会社とのリレーションシップ、場所の選定、居住者様への周知と集客、まできちんと考えられていました。引き続き、マンションにお住まいの方々が、アートを身近に感じてもらい、それぞれのお部屋にアートを飾りたくなってしまうような展示をご一緒させていただきたいと思います。
ー本日はありがとうございました。
大城崇聡 | Takatoshi Ogi
株式会社between the arts CEO/Founder
一般社団法人日本アートテック協会 代表理事
不動産テックカンパニーの創業に携わり、東証1部上場を経験。クラウドファンディング事業やトラベルテック事業などの新規事業の立ち上げや事業拡大を牽引。2020年1月、株式会社between the artsを起業。自身のアートコレクターとしての実体験を元に、アート作品の管理、保管、流動性に関する問題点を解決するため、日本初のアート管理サブスクリプションサービス「美術倉庫」を展開。歴史の長いアート・美術業界にテクノロジーをもたらし、日本のアート市場拡大への貢献を目指す。
ホームページ:https://bwta.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/between_the_arts/
<本サービスに関するプレスリリース>
between the artsが新都市生活研究所と提携し、分譲マンションの共用部を活用したアート作品の展示を開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000061309.html
アートは美術館で眺めるだけではなく日常の中で親しむことで、新たな魅力に出会えそうです。気に入った作品を購入すれば、楽しみ方が一段と深まりそうだなと感じました。
新都市生活研究所では、引き続き現代アートのマンション内展示を行っていきます。
文:村上美里