新都市生活研究所では、株式会社クワバラコンサルティングと提携して、タワーマンション内でのロビーやラウンジで、プロピアニストによるコンサートを提供しています。これは、コロナ禍でどのマンションも途絶えてしまった音楽イベントを、マネタイズ可能なイベントとして再定義して、実施しているものです。
実施後のアンケートでは、感性を刺激するイベントとして、ご評価していただく声もいただいています。
2021年12月18日、BAYZ Tower&Garden 31階で行われたクリスマスコンサート後に、クワバラコンサルティング代表の桑原浩幸さんにピアノコンサートのプロデュース事業について、また今回の新都市生活研究所との提携によるタワーマンション内でのコンサートついてお話を伺いました。
パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワーでのコンサートはこちら
BAYZ Tower&Gardenでのコンサートはこちら
ー本日はありがとうございました。11月と12月で計3回のピアノコンサートをタワーマンション内で開催されましたが、いかがでしたか。
何百世帯~千世帯という家族が集まって暮らしているタワーマンションという建物の中で、エレベーターで移動するだけで、コンサートを聴きに来られるというのは素晴らしい機会の提供だと感じています。ピアニストにとっても、日頃はチケットを買って、コンサートに聴きに来られる方が中心ですので、全く新たな人に自分の音楽を触れてもらうっていうのはすばらしいチャンスだなと考えます。
-クワバラコンサルティングと契約されているピアニストはどんな方々でしょうか?
私が契約しているピアニストたちは、いわゆる”正統派”のピアニストです。幼稚園、小学校の頃からピアノを始めてずっとピアノ漬け、高校は音楽科、大学もピアノ専攻で大学院に入り修士課程まで修了されたという方、つまり人生をピアノに捧げて、一流の音楽大学を卒業されている方々と契約しています。日本でトップレベルの教育を受けた方たちですね。若手で新進気鋭の方々を支援したいというのがこの事業を始めた動機です。一流の、それこそ世界に通用するレベルのスキルを持ってるピアニストの方でも、コンサートだけで食べていける、あるいは CD の発売だけで食べていける方はほんの一握りしかいない。こうした人たちの音楽に触れてもらえる機会をもっと作りたい、演奏の機会を提供したいのです。
まさに今回こうやって、いろいろなのマンションで新しい観客の方に演奏を聴いていただけるのは本当に素晴らしいなと。
-いろいろなコンサートの形態があるなかで、ピアノソロコンサートの魅力というのは何でしょうか?
ピアノコンサートの魅力は、とにかくシンプルな美しさです。
オペラですと、舞台装置や何十人と演者が必要ですが、そうしたものがいりません。ピアノさえあればピアニストが 1人で身軽に弾くことができて、素晴らしい表現力でそれこそオーケストラを超える魅力があるような音楽だって作ることができる。そこがピアノソロコンサート最大の魅力だと思ってます。
バイオリンやフルートも、ピアノの伴奏がつくだけで、更に素晴らしくなります。全ての音楽のベースになる普遍的な魅力がピアノにはあると思っています。
-通りすがりのお客さんも多い環境下での演奏もありましたが、どうでしたか?
聴衆の方々が、じっくりピアニストの言葉に耳を傾けてくださるのが印象的でした。
駅やショッピングモールのロビーで開催される無料コンサートですと、通りすがられる方が 1 曲聴いて、すぐに立ち去っちゃうような演奏を見てきましたけど、きっちり最初から最後まで聴いていただける方がほとんどです。住民の方の音楽に対する意識や感性が高い証拠だと感じました。
-一方で、コンサートを行うにあたって、演者の方にギャラはお支払いしなければなりません。どうマネタイズしていくかは課題もありますが、本日は可能性も感じました。
「きっちりスポンサーを付ける」「何か販売するブースをセットとして物販の利益でコンサートを提供する」、もしくは「チケットを販売してその代金に相当するものをお土産につける」など、マネタイズについては今後いろいろ可能性は探っていきたいです。こうしたことは住戸の数が多いマンションの中で披露するからこそできる、ということもありますし、経済が回ることが実感できれば私も継続的にレベルの高い演奏を住民のみなさまに提供し続けられます。
-新都市生活研究所についてお願いします。協業をしてみていかがででしたか?
電通で独立した人たちでネットワークを作るニューホライズンコレクティブの勉強会で新都市研代表の池崎さんの講演を聞いて、これだと感じてすぐに提携しました。とにかくスピード感が早いのが良いですね。私も池崎さんも大きな組織にいたので、もどかしい気持ちを抱えながら仕事をしていました。新都市研との間では、ダイレクトに物事が進んですぐに決まる。それが気持ち良いです。
-小さな組織ですからスピード感をもって仕事したいですね。新都市研とのアライアンスの中で、今後こうしていきたいという夢があればお願いします。
このクラスのピアニストを柔軟に起用できて、ホールでの定型の有料コンサートでない新しい試みを次々と企画できるのは、日本で僕の会社だけだと思うんです。マンション住民のみなさまに素晴らしい若手の演奏を提供して、レベルの高い音楽を一緒に広めていきたいです。
あとは、単にコンサートだけじゃなくて音楽を使ったワークショップの企画も考えたいですね。「認知症予防のための音楽ワークショップ」「ビジネス脳をピアノで刺激するワークショップ」など。また、純粋なコンサートではない、音楽レッスン的なコンテンツも開発したいです。
あと、いま一緒に企画しているのは、ピアノが置いていないタワーマンションのロビーに別の場所で浮いたグランドピアノを設置して、毎月素晴らしいピアニストによる演奏を提供する。これができれば、本当にマンションの格が上げられるんじゃないかなと。ワクワクしますね。
本日はありがとうございました。
桑原浩幸 | Hiroyuki Kuwabara
株式会社クワバラコンサルティング代表取締役
35年勤めた電通を退職して独立起業。電通時代は国際スポーツ関係のビジネスを手掛けていた。自身もピアニストであり、ピアニストネットワークに富んでいる。
「ピアノを中心とした音楽ビジネス」「グローバル事業のコンサルティング」「ゴルフ関連のコンサルティング」が三本の柱である。
新進気鋭のピアニストによるマンション内コンサートを定期的に提供するために、新都市生活研究所としてもいろいろな可能性を探っていきます。
文:池崎(新都市生活研究所代表取締役)