新豊洲エリアのシンボルである2つのタワーマンション、スカイズタワー&ガーデンとベイズタワー&ガーデン。
2021年12月5日、株式会社新都市生活研究所はベイズタワー&ガーデンにあるキッズスペース、「キッズガーデン」で絵本の読み聞かせイベントを2回(14:00~、15:30~)開催しました。
今回の企画は福島県郡山で70年以上書店を営み、絵本フェアを精力的にされている高島書房さんのご提案からスタートしました。
「街の書店が減少していく中で、絵本の楽しさを伝えたい」という思いを持つ高島書房さん、絵本・児童書出版を手掛ける老舗出版社の好学社さんとコラボレーションし、子育て世帯が多い大規模マンションと親和性の高いイベントを実施できました。
子どもも読み手も一緒に絵本の世界を楽しむ
読み聞かせをおこなうのは絵本専門士で、保育園園長でもある藤得顕(とうとく・けん)さん。
会場のキッズガーデンは運河と緑あふれる豊洲ぐるりパークを望む開放的な空間です。各回20名ほどのお子さんが集まってくれました。読み聞かせは12月実施でしたので、サンタの格好をして参加するお子さんの姿も。
イベントでは3冊の絵本を朗読。
よしながこうたくさんの『給食番長シリーズ』から、参加者の女の子が選んだ『飼育係長』を読み聞かせが始まります。
わんぱくな小学生たちの学校生活が、カラフルで個性的な絵で描かれる作品です。
次に読み聞かせをおこなったのは、レオ・レオニの『はまべにはいしがいっぱい』。
テーマは浜辺の「石」で、モノクロの鉛筆画が味わい深い一冊です。『飼育係長』の明朗な読み方が一転し、じっくり語りかけるような口調で作品世界観に引き込まれます。
最後は同じくレオ・レオニの『スイミー』。教科書でもおなじみの名作絵本です。
まずは歌と手遊びで子どもたちを作品世界に引きつけてから、大型絵本で読み聞かせ。よく知ったストーリーも、耳から楽しむことで違った味わいを感じられます。
あっという間に30分が過ぎていきました。終了後も会場に残り、絵本を読む子どもたちの姿が見られました。
参加者からは「親子で楽しめた」との声が
来場された住人の方からは、「子どもたちがとても楽しそうに集中していた」「子どもの教育につながると感じた」などの感想が寄せられました。
「子どもだけでなく自分も楽しめた」「作品の背景や特徴の説明があり大人にもためになった」など、子どもも大人も満足する時間を過ごしていただくことができました。
特にこの2年、コロナ禍でイベントがほとんど中止される状況だったため、リアルイベントの開催を喜ばれる方もいらっしゃいました。
「読み聞かせで絵本の世界はもっと豊かになる」絵本専門士・藤得 顕さんにインタビュー
今回のイベントで読み聞かせを実施していただいた藤得顕さんにお話を伺いました。
藤得さんが考える絵本の魅力、読み聞かせの効果とはどんなものなのでしょうか。
ー保育園の園長として、日頃から園児に読み聞かせをされているほか、ご自身でも絵本の読み聞かせイベントを実施されているとのことですが、本日のイベントはいかがでしたか?
今回は読み聞かせる絵本が決まっているところが、普段私が実施しているイベントとの違いでした。いつもはキャリーケースいっぱいに絵本を詰めて、子どもの様子を見ながら何を読むかを決めています。
どんな本が刺さるかは、集まったお子さんの年齢や会場の雰囲気で変わるので、反応によって変えていくんです。ですので、読む本が決まっているところは難しさを感じました。
スカイズタワー&ガーデン、ベイズタワー&ガーデンの2回目の読み聞かせでは、会場のお子さんに本を選んでもらったり、スイミーの読み聞かせの前に手遊びをして関心を引くなど工夫を入れました。
ー新都市生活研究所はタワーマンションの共用施設を活用したイベントを実施していますが、お子さんの反応など他の会場と異なる点はありましたか。
子どもはどこに行っても子どもなので、あえてタワーマンションだからという特徴は感じませんでしたね。ただ、読み聞かせの環境は重要だと思います。今日は、お子さんが遊びながら参加できる会場でした。子どもたちを引き込むには、会場の環境設定が重要です。
今回に限らずですが、私が読み聞かせながら感じていることと、会場の雰囲気がリンクすれば、子どもを巻き込めていると思いますね。
ー作品によって声のトーンやテンションを変えられているのが印象的でした。読み聞かせの際はどんな点を意識しているのでしょうか。
頭で考えて切り替えてはいません。読み聞かせに慣れていますのでどんな作品でも合わせられます。今回の課題図書は事前に保育園の子どもに読み聞かせをしていますので、作品・作家の世界観がわかっていますから。
意識して気持ちを入れ替えなくても、自然と作品に最適な読み聞かせ方になります。
ー読み聞かせは子どもにどんな効果をあたえるのでしょうか。
絵本の世界が味わい深くなると思います。読み聞かせは絵や世界観に没頭できるので、自分で読むのとは面白さが変わります。小説を自分で読むのと、オーディブルなど朗読で聞くのとは感じ方が違いますよね。
それと同じで、絵本の世界をより豊かに感じられると思います。
ー親が子どもに読み聞かせをするときに使えるコツがあれば教えてください。
ご家庭では、こうすべきというやり方にこだわらなくてもいいと思います。朗読には、「抑揚をつけない」など基本のルールがありますが、それを重視しなくてもいいですし、「最後まで読みきらなきゃ」と頑張る必要はないです。
できれば子どもがいつでも絵本を手に取れる空間をご家庭につくって欲しいですね。毎日読み聞かせをする、1日何冊読み聞かせるということを目標にするのではなく、「この絵本を読んで」と子どもが持ってくるような状況が理想ではないでしょうか。
絵本の読み方に正解も不正解もありません。絵本を通じて、自分の世界を広げられることが魅力ですし、その手助けをするのが大人の役割だと思います。
ー読み聞かせに向いている絵本はありますか。選び方のポイントなど。
言葉のリズムがいい、響きがいい、絵や言葉に味があるもの、でしょうか。
絵本は古くから愛されているものから新作までたくさんあります。何を選べばいいかわからない場合は、出版社が設定している推奨年齢にあわせて選ぶのがおすすめです。親が読ませたい本よりも書店で子どもに選ばせるといいですね。
私が絵本を買うときは、人から紹介されたものと、好きな作家さんの出すものです。ノープランで絵本専門店に行って、新しい出会いを楽しむこともあります。
今回読み聞かせをした中で、レオ・レオニは当然私の保育園やイベントでも読み聞かせしている絵本界の巨匠ですが、よしながこうたくさんは初めて知りました。毎月100冊以上の絵本が出版されていますし、新しい作家さんもどんどん誕生しています。
いろいろな作品に出会い、ピンと来るものを購入してみてください。
ー今後、藤得さんはどのような活動をしていきたいですか?
引き続き子どもと絵本をたくさん読みたいです。絵本の楽しさを親御さんにも知って欲しいですし、絵本を通して子どもと触れ合って欲しいと思います。
読み聞かせをしたり、イベントなどで面白いものを提案して「絵本っていいな」と気づきのきっかけを与えられると嬉しいです。
また絵本関係なく、子育て支援もしていきたいと思っています。
ー本日はありがとうございました。
プロフィール
藤得顕(とうとく・けん) 認可保育園園長、絵本セラピスト
【絵本と人の虹のかけ橋】をモットーに活動。
30歳を過ぎてから保育士になり、子どもと絵本を読むうちに「いい読みってなに?」「いい絵本てなに?」という疑問を持つようになりました。
抱いた疑問の答えを求め、第5期絵本専門士養成講座を受講。約7か月の講座受講後、令和元年に絵本の絵本専門士の資格を取得。
以降、保育園で勤務しながら絵本イベントの出演・イベント運営などを行っています。
園で子どもと読む体験をもとに絵本の魅力を伝え、絵本を通した子どもとの触れあいの楽しさを発信しています。
「親子で読むから楽しい!」「大人が読むから楽しい!」と思える絵本と出会えるキッカケを作れたら嬉しいです。
絵本専門士とは?
子どもの言語力・理解力・感性の発達に繋がるなど豊かな人格形成に欠かせない絵本に関する高度な知識、技能及び感性を備た絵本の専門家です。
読み聞かせによって、自分で読むのとは異なる角度で絵本の世界が広がることを実感。みんなでひとつの作品に没頭するのは、心地よい一体感のある時間でした。
新都市生活研究所は、マンションの共用施設を活用したイベントを企画・実施しています。
今後も住民の方にとって価値のある、ユニークな企画を提供していきます。
主催:B2・B3共通団地管理組合
共催:株式会社新都市生活研究所
協力:高島書房、好学社
文:村上美里
◆関連コンテンツ
SKYZ TOWER &GARDEN/BAYZ TOWER &GARDENのマンション紹介
・SKYZ TOWER & GARDEN/BAYZ TOWER & GARDEN 【豊洲エリア】